歯のコラム

COLUMN

心疾患について

2019/7/23

歯周病

心疾患と歯周病の関係

 

歯周病は心疾患を引き起こす可能性があります。

なぜ口腔疾患である歯周病が心臓に影響を与えるのでしょうか。

歯周病が進行し歯周病菌が増えると、歯肉の血管を通り血流に乗り,心臓へ移動します。そしてその歯周病菌が心臓の血管壁に炎症を起こします。すると炎症部分が動脈硬化を起こし、狭心症や心筋梗塞を引き起こしてしまうのです。

また、歯周病菌が血流に乗り、心臓の弁や心内膜に付着し細菌感染を起こす感染性心内膜炎という病気もあります。これは全身に血液を送るポンプの役割をしている心臓で細菌が繁殖するため、瞬く間に全身へと細菌が運ばれてしまいます。

 

 

狭心症と心筋梗塞

  • 原因

心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が動脈硬化を起こすと、血管が狭くなり血流が悪くなります。これが狭心症と心筋梗塞の原因です。

動脈硬化が起こる原因は、血管壁に脂肪が蓄積したり、血管壁を傷つけ炎症を起こすことで傷の治癒過程で血栓がつくられるため、結果的に血管壁が厚くなり血液の流れるスペースが狭くなるのです。

  • 症状

狭心症の主な症状は、冠動脈の血流が悪化し心臓が酸欠状態になるため、胸部に圧迫感や痛みが起こります。狭心症の発作は突然起こり、数十秒から数分続きます。また、胸以外の肩や腕、歯などに痛みを感じることもあります。

心筋梗塞の症状は、冠動脈の血流がほとんど止まってしまい、心臓の酸欠により一部の心筋が壊死している状態です。激しい胸の痛みや、締め付けられるよな圧迫感があり、狭心症と違い発作は長時間続きます。

  • 歯周病との関係

血管壁に炎症を起こして動脈硬化が進行するので、歯周病がある人とない人では、歯周病のある人の方が心疾患の発生頻度が高く、最近の報告では、冠動脈の動脈硬化部分で歯周病菌が発見されたそうです。

 

 

感染性心内膜炎

  • 原因

血管内に入り込りんだ細菌が血流に乗って、心臓の弁などに付着し細菌感染を引き起こすことが感染性心内膜炎の原因です。

  • 症状

発熱や体のだるさを感じたり、心臓弁の破壊が進行するとともに心不全(動機や息切れ)などの症状を発症します。

  • 歯周病との関係

出血を伴う歯科治療時に、口腔内の細菌が血管に入り込み、感染性心内膜炎を発症します。つまり、歯周病のある人は健康な人よりも歯周病菌を多く保有しているため、感染性心内膜炎になりやすいということです。

 

 

歯周病は口腔内だけではなく、血管を通って全身へ重大な影響を与えます。

口腔内の細菌が血管に入り込み感染するリスクを減らすためにも、口腔内を清潔に保つことが重要です。

また、すでに心疾患のある方は、感染性心内膜炎を発症するリスクがさらに高まると考えられています。治療前に抗生剤を使用するなど、適切な感染予防が必要です。

loading